ミニシアター系の邦画です。
(※ 映画は基本的にネタバレしてしまってるので、知りたくない方は注意してくださいね)
起承転結がはっきりあるタイプの映画ではないし、
キラキラしたファンタジー映画でもないで好みが分かれるかもしれません。
(ミニシアターの映画が好きな方でしたらすんなり見られると思います)
あらすじ
主に3人の登場人物を中心として話が進みます。
お弁当屋でパートをしながら働く主婦、
ゲイの弁護士、
そして主役は奥さんを通り魔に殺された男性。
この映画はそれぞれの人間関係の複雑さや社会の理不尽さ、
人間の少し滑稽なところ・・・・
とても上手く表現されていて、
私としても「ありそうだなぁ」という場面がところどころ出てきます。
残された者の孤独と葛藤
例えば主役の男性は奥さんを通り魔に殺され、
おそらく自分の見えてる世界は他の人たちと全く違うと思うのです。
空の景色も違うだろうし、他人の会話もまったく耳に入ってこない。
自分ただ一人が、あり得ない精神状態のまま仕事をしてる様子が分かります。
同じ世界に生きてるのに自分の世界だけが変わってしまったのです。
お風呂に入り、湯船に浮かんだアヒルのおもちゃを見つめながら
「ガンバレ。おまえが沈んだら、オレ悲しいからな・・」と呟く男性。
このへんの孤独感というのか、周りにまったく共感しあえる相手がいなくなった感じ、
ただひたすら一人で生きてる感じは、淡々とした映画ながらも結構リアルに感じました。
亡くなり方
特にこの男性の場合は奥さんが事件に巻き込まれてしまって亡くなったので、
さらに人間に対する不信感や絶望感は計り知れないものがあるかもしれません。
弁護士に相談に行けばお金をふんだくられてしまい、
役所の窓口に行けば未納の指摘を言われたことも重なって
男性は思わず役所の担当者に怒鳴ってしまいます。
3年前に奥さんが通り魔に殺されて仕事出来なくなったのだと。
おそらく今まで溜め込んできた怒りの声でした。
葛藤
この主人公は最後まで葛藤します。
犯人を殺してやりたいと同僚に伝えてみたり、
一人残された部屋で暴れてみたり、
お風呂場で自殺も試みて断念したり
そして最後に遺影の前で泣きながら言うのです。
「犯人を殺すことも出来ないし、かといって死ぬことも出来ない。
サトちゃん(奥さん)がいなくなってから俺は何も出来ない人間になってしまった」
そう言って遺影の前でむせび泣きます。
このあたりはファンタジー映画とは真逆で、
ストレートに訴えかけるようなドキュメンタリー風の演出になっています。
(こういう場面も好みが分かれるところかも)
映画は3人の現在の少し壊れた社会の中で
どうにか折り合いを見つけて生きていこうとするラストになっています。
「解決はしてないけれど、状況がほんの少しだけ変わった」というところでしょうか。
起承転結がハッキリあるわけでもなく問題が解決してるわけではないので、
「あー、スッキリした」という映画ではありません(^^;)
だからこそこの映画は結構リアルに感じました。
天国にいる相手と再会してめでたしめでたしというファンタジーはあまり。。。という方は
こういうヒューマンドラマのほうが等身大に感じるかもしれません