映画「永い言い訳」

(※ 映画は基本的にネタバレしてしまってるので、知りたくない方は注意してくださいね)

本木雅弘さんと深津絵里さんが夫婦役です。

 

 

あらすじ

人気作家の主人公が、妻を突然のバス事故で亡くしてしまう。

妻とは日頃ドライな関係で、事故の日も不倫相手と密会していた作家。
後日、同じバス事故で母親を失った家族と出会う。

その家族と時間を過ごしていくうちに、亡くなった妻と向き合い始める。

 

めずらしい展開

死別ものの映画としては、当時、珍しい展開だと思いました。

映画の予告でも「妻が死んだ。これっぽっちも泣けなかった
というテロップが映されます。

この主人公は奥さんがいることは当たり前だと考えていて、
日常の会話もどこか冷めていました。

奥さんが誰とどこに旅行に行ったかもあまり把握していませんでした。

親友家族との交流

奥さんは親友とバス旅行に行っていたので、
親友の旦那さんからある日、電話がかかって来ます。

「君も同じだろ!?同じように苦しんでるだろ!?」
と、すがりつくように旦那さんが連絡してきたのでした。

この男性は奥さんととても仲良しでした。

 

見どころ

同じ事故にあって配偶者を亡くした2人の男性。

この2人がストーリーの中で対照的に描かれています。

途中から相手の子供たちとも交流が増えて来るので、
映画のテーマも
「死別した男性が子供に癒される話」のように思えるかもしれません。

確かにそのあたりも見どころの1つで、
人気作家の男が子供たちに振り回されてバタバタしたりと
少しほほえましい場面が続きます。

でも「この男性も子供がいればよかったね」って話なの?というと
そこがテーマではないと感じました。

 

感想

死別視点で見ると、この主人公の心の動きがとても興味深いのです。

主人公はそれまでプライドも高く、自分中心に生きてきました。

生きてる頃は奥さんとあまり向き合わず
奥さんとの時間もあまり大事にせず

(ちなみに奥さんを演じてる深津絵里さんがとても綺麗です💛)、
奥さんの周りにいる人間関係にも興味を持ちませんでした。

しかし主人公は奥さんを亡くして1つの答えに行きつきます。

人生は他者だ」と。
(「人生は他者との関りだ」と言いたいのかなと思いました)

 

亡くなってから気づいたこと

奥さんを取り巻いていた環境が、
自分にとってもとても居心地の良かった場所だったのだ。

しかし今まで奥さんのいる空間に全く興味を持ってこなかったこと。
奥さんを亡くしてからそこに気が付くのです。

この主人公は半永久的に、奥さんに対してずーっと
心の中で残ってしまった思いを抱えて生きていくことになるかもしれません。

長い言い訳」じゃなくて「永い」をタイトルに使っているのは
そういうことなのでしょう。

ラストあたりで主人公は奥さんのいた職場に足を運び、
職場の人とも交流を持つ場面もありました。

 

「人生は〇〇だ」

この主人公は、死別をした後に「人生は他者だ」という気持ちに
変化しました。

しかし、それが正解だと言ってるのではないと思います。

この主人公とは別で、
「人生は他者ではない、やっぱり自分だ」と思う人もいるでしょう。
「人生は経験だ」
「人生は思いっきり楽しむことだ」
いろいろ人によってありますね。

死別して変わった主人公の価値観。
そのへんがこの映画の見どころかな、と思っています。